島根旅行記 一日目(2015/09/10)


■出発(9月9日)
  出発2日前の3時に台風18号(※)が発生し、旅行中止の危機。
  しかし、出発日の14時に日本海に抜け、
  21時に温帯低気圧に変わったため、旅行決行となりました。


  ※9月9日10時過ぎに知多半島に上陸し、東海・北陸地方を縦断。
    前線が刺激されたことで中国地方から東北地方にかけての
    広い範囲で大雨となり、温帯低気圧に変わった後も
    台風17号との相互作用で大雨が継続し、
    鬼怒川が決壊して甚大な被害をもたらせたあの台風です。


  横浜駅22:24発サンライズ出雲に乗車。
  (ちなみに、前日のサンライズ出雲は台風の影響で運休でした)
  寝台列車は7年前の北斗星以来です。

  サンライズ出雲は、東京駅~出雲市駅間を運航する寝台特急。
  東海道本線・山陽本線・伯備線・山陰本線経由。
  東京駅~岡山駅間はサンライズ瀬戸を併結します。
  285系電車の7両編成。
  個室A寝台「シングルデラックス」、
  個室B寝台「サンライズツイン」「シングルツイン」「シングル」
  「ソロ」、普通車指定席「ノビノビ座席」で構成されています。

  昨今のパワースポットブームの影響で
  縁結びの聖地「出雲」を訪れる女子旅にも利用されるようになり、
  現在はチケットの確保が困難となっています。
  (特に休前日の出発は争奪戦です)

  かく言う我が家もサンライズツインを申し込んだものの、
  確保できたのは喫煙可のシングル2室。
  (サンライズツインは一編成に4室なので確保困難です)
  我が家は非喫煙世帯なのでタバコの臭いが気がかりでしたが、
  あまり気にならないレベルでした。

  発車後はビールを飲みながら翌日の観光予定を確認したり、
  車窓を眺めたりしていました。

  静岡駅(0:20頃)あたりで就寝。
  横になったもののあまり眠れず、米原駅あたりで起床。
  滋賀県内は雲も少なく星や月も見えていましたが、
  大阪府に入ったあたりから雨が降ってきました。

  姫路駅を過ぎたあたりで、ミニサロンで朝食。
  (食堂車や車内販売がないので、乗車前に買っておきました)
  岡山駅ではサンライズ瀬戸の切り離しを見学。
  中国山地を越えて鳥取県に入ってからは
  雨が降ったりやんだりでした。

  定刻通り松江駅9:30着。
  松江も晴れ間が出たり、雨が降ったりと不安定な天気。

  まずは駅前のレンタカー屋へ。
  今回の車はマツダのデミオ。

  天気が悪かったので、とりあえず島根県物産観光館へ。
  サンライズが入ってきました
13号車通路

シングルの室内 窓側にライトのスイッチや時計など
通路側には荷物を置くスペースがあります
  浴衣・枕・毛布が用意されています
深夜の静岡駅 ビルの合間から
奇跡的に撮影できた姫路城
ミニサロン
岡山駅での切り離し作業 先発するサンライズ瀬戸 出発を待つサンライズ出雲
特急やくもとの離合


松江駅では「しまねっこ」がお出迎え   マツダ デミオ
■島根県物産観光館
  島根県の物産と観光の振興を図るために設置された県の施設。
  松江城大手門近くにあります。

  食べ物や地酒、工芸品など県内各地の物産が一堂に揃っています。
  また、県内の観光パンフレットを取り揃え、
  観光情報の提供に関する業務も行っています。

  2階には「しまねっこのお家」があり、
  運が良ければしまねっこに会えるかも!?


  天気が回復しないので、堀川めぐりをすることに。
  遊覧船には屋根があるので、雨でも大丈夫です。


  しまねっこのお家
  ゆるキャラグランプリの
  選挙事務所仕様になっていました


■堀川めぐり(堀川遊覧船)
  松江城を囲む約3.7kmのお堀を
  全長約8m、幅約2mの小船が約50分かけてのんびり巡ります。
  乗船場はふれあい広場・カラコロ広場・大手前広場の3か所。
  一周しなくても途中の乗船場で下船可能です。

  コース周辺は天守をはじめ、武家屋敷、塩見縄手の老松など、
  小船にゆられながらゆったり眺めるのにふさわしい風景です。
  船上から眺める松江の街並みはどこか懐かしく、
  徒歩とは違った風景を楽しむことができます。

  小船は17もの個性ある橋をくぐりますが、
  そのうち4つは橋桁が低いため船の屋根を下げて通ります。
  その時は乗客も腰をかがめないといけないため、
  スリリングな体験ができます。
  
  運よく最前部に座れたものの、
  前から雨が吹き込んできたりして大変でした。
屋根付きです

出航!

  塩見縄手あたり

屋根が下がった状態


雨に煙る松江城天守

■昼食
  松江駅近くの「日本料理 松江 和らく」。
  日本海の新鮮な魚介類や四季折々の食材にとことんこだわった
  風格漂う日本料理店です。
  旬の食材を生かし、卓越した職人の技により生み出される
  至高の逸品を提供しています。

  山陰といえば「かに」。
  「かに料理」を大きな華籠に詰め込んだ
  ランチ限定の「かに華籠膳」を注文。
  かにを存分に味わえる見た目も贅沢なお膳です。

  どのかに料理もとてもおいしく、満足のいく逸品でした。

  ちなみに、クーポン持参で妻はグラスビール、
  私は運転があるのでアイスコーヒーをいただきました。
かに華籠膳

  境港産紅ずわいがに

かに天婦羅+野菜天婦羅

かに茶碗蒸し

  かにのとろ湯葉

かに寿司


お造り(かんぱち+鯛)


  しじみ汁


  昼食の後は再び観光。
  まずは塩見縄手周辺へ。


■塩見縄手
  「縄手」とは縄のように細く延びた一本道のこと。
  慶長12年(1607年)~慶長16年(1611年)の松江城築城の際に
  城地の亀田山と北側の赤山の中間にあった宇賀山を堀削して、
  内堀とそれに並行する道路および武家屋敷を造成してできた通り。

  この塩見縄手には
  二百石から六百石程度の中級武士の屋敷が並んでいました。
  この武家屋敷に一時住んでいた塩見小兵衛が
  のちに異例の栄進をして家老職になったため、
  それを称えて塩見縄手と呼ぶようになりました。

  松江で最も城下町らしい佇まいを残すこの通りは
  市の伝統美観地区に指定されており、
  昭和61年には「日本の道100選」に選ばれています。


■小泉八雲旧居
  国指定史跡。
  小泉八雲ことラフカディオ・ハーンが
  明治24年(1891年)6月~11月の約5か月間過ごした武家屋敷。
  松江では「ハーン」の別名「ヘルン」という名が定着しており、
  この屋敷は「ヘルン旧居」とも呼ばれています。

  小泉八雲は「耳なし芳一」や「雪女」などの「怪談」の作者。
  文学者としての八雲の功績はたいへん広範囲にわたっており、
  翻訳(主にフランス文学の英訳)、紀行、随筆、文芸批評、
  民俗学などの分野でも多くの作品を残しています。

  八雲は明治37年(1904年)に
  東京で亡くなるまでの14年間を日本で過ごし、
  その間、松江・熊本・神戸・東京と四つの都市に住みました。
  この屋敷は元松江藩士の娘セツと新婚生活を過ごした邸宅で、
  庭のある侍の屋敷に住むのは八雲たっての希望でした。

居間から庭を眺めるのが
好きだったようです




書斎にある愛用の机と椅子(レプリカ)


■武家屋敷
  江戸時代初期から松江藩の六百石程度の中級藩士が
  屋敷替えによって入れ替わり住んだところ。
  現在の屋敷は享保18年(1733年)の大火で焼失後に
  再建されたもので、松江市の文化財に指定されています。

  約70坪(約230㎡)の主屋と中間(武家奉公人)の住居として
  用いられた長屋と長屋門、ほかに裏門、庭園が現存しています。
  表側の玄関から座敷まわり、
  主人居間のあたりは立派な造りになっているのに対し、
  裏側の私生活部分は質素な造りになっており、
  武家の公私の別の厳しさを示しています。

  館内には刀、槍、薙刀などの武器、
  裃や化粧道具・お歯黒道具などの日用品が展示されてします。
  長屋門

主屋

内玄関
家族などの私用に使う出入口
  式台玄関
  来客者が地面に降りることなく
  駕籠に乗り降りすることができました
座敷
現代でいう応接室
当主居間

  茶の間

納戸


湯殿


  台所


  ここでちょっと一息。
  松江の茶の湯化に触れるべく明々庵へ。

※松江の茶の湯文化
  松江は古くから京都や金沢に引けを取らない茶処・菓子処でした。
  今でも、家庭だけでなく会社においても10時と3時に揃って
  お茶を飲む休憩時間があるところがあるそうです。
  松江の人々の暮らしの中に
  さりげなくお茶を楽しむ文化が根付いているのは、
  大名茶人・不昧(ふまい)公の影響が色濃く残っているからです。

  不昧公とは松江藩七代藩主・松平治郷公のこと。
  不昧は茶の湯の号で、こちらの名前の方がよく知られています。
  不昧公はこよなく茶の湯を愛し、後に不昧流と呼ばれる、
  流派や形式にこだわらない独自の茶道を築きました。
  不昧公の存在によって茶の湯を楽しむ気風が育まれ、
  お茶の席には欠かせない銘菓がいくつも誕生しました。

  明々庵の城見台から松江城を望む


■明々庵
  安永8年(1779年)、不昧公によって建てられた茶室。
  一時は東京の松平伯邸などに移されていましたが、
  昭和41年に現在の地に移築されました。
  島根県指定文化財。

  厚い茅葺きの入母屋造りで、
  間取りは二畳台目と四畳半の席が組み合わされ、
  水屋と台所も完備しています。

  隣接する百草亭では、
  明々庵や庭園を眺めながら抹茶と茶菓子を楽しむことができます。
  明々庵【島根県指定文化財】
不昧公筆の「明々庵」の額



松江三大銘菓のうちの二つ
若草(手前)と菜種の里(奥)
不昧公によって命名されました

  百草亭から眺める庭園

  いよいよ国宝松江城へ。


■松江城
  天守は国宝(平成27年7月8日指定)
  国指定史跡。
  現存十二天守の一つで、日本三大湖城の一つ。
  日本百名城にも選ばれています。

  松江開府の祖・堀尾吉晴公が築城。
  慶長12年(1607年)から足掛け5年の歳月をかけて
  慶長16年(1611年)に完成しました。
 
  標高28mの亀田山(城山)の丘陵上に構築された平山城で、
  天守は四重五階地下一階、高さ約30m。
  天守を中心とした本丸には武具櫓、鉄砲櫓、祈祷櫓など
  6基の二重櫓があり、その間を多聞や瓦塀が繋いでいました。

  千鳥が羽根を広げたように見える入母屋破風の屋根が
  見事なことから、別名「千鳥城」とも呼ばれます。
  関ヶ原の合戦が終わって間もない頃の築城だったため、
  望楼式など桃山風の城郭の特徴を残しながらも、
  質実剛健で実戦的な構造となっています。

  明治になって城内の建物は天守を除きすべて取り壊され、
  天守も取り壊しの上、その部材が売却される予定でしたが、
  元藩士や地元の有力者によって買い戻され、
  山陰地方で唯一の天守が今に残ることとなりました。
堀尾吉晴公
大手木戸門跡

馬溜跡

  大手門跡

大手門の礎石

太鼓櫓(平成13年復元)

  太鼓櫓下の石段横の
  石垣にあるハート形の石

二の丸下の段
米蔵や屋敷などがあったとされています
三ノ門跡

  二ノ門跡

弓櫓跡

南多聞櫓(昭和35年復元)

  一ノ門(昭和35年復元)

  附櫓
  天守入口の防備を堅くするために
  取り付けられた櫓
天守【国宝】

望楼と入母屋破風
華頭窓もあります
シャチホコ
天守に取り付けられていたもので
昭和30年の改修で取り替えられたもの
  石落としと狭間


  大坂冬の陣で14歳の松平直政公が
  真田幸村公の陣を攻め
  幸村公にその勇気を称えられて
  投げ与えられたといわれる軍扇
寄木柱
柱の外側に板を張って
鎹(かすがい)や鉄輪で留めたもの
桐の階段
階段を引き上げたり
防火防腐のために桐が使われました
天守最上部から本丸を望む

天守最上部から宍道湖を望む

乾櫓跡

鉄砲櫓跡



祈祷櫓跡

多門跡

  武具櫓跡

太鼓櫓(平成13年復元)

中櫓(平成13年復元)

  南櫓(平成13年復元)

中櫓(平成13年復元)

  南櫓(平成13年復元)
武具櫓石垣と天守


  時間が余ったので、
  吹き込む雨のためゆっくり楽しめなかった
  堀川めぐり遊覧船に再度乗船することに。

  今回の船頭さんは観光ガイドだけでなく、
  安来節など民謡を3曲歌ってくれました。
  香港からの観光客の方もたいへん喜んでいました。
塩見縄手あたり

武家屋敷前

  カワウ

稲荷橋

カルガモくん

  ジャングルのようなところもあります

島根県庁
松江城三の丸跡にあります
旧日本銀行松江支店
現在は「匠」をテーマにした
製造・販売一帯型の工芸館
「カラコロ工房」になっています
  新米子橋
  遊覧船の屋根が下がる
  4つの橋のうちの一つ
ヒガンバナ


松江城天守


  北惣門橋


  本日最後の行程は宍道湖の夕陽。
  「日本の夕陽百選」にも選定されており、
  宍道湖に沈む夕陽の美しさは日本一といわれています。
  夕陽を見るために「宍道湖うさぎ」のある島根県立美術館へ。


■宍道湖うさぎ
  島根県立美術館の外の芝生に並んだ12羽のうさぎ。
  籔内佐斗司・作。ブロンズ製。

  12羽のうさぎがぴょんぴょん跳びはね、
  最後に宍道湖を眺めています。
  よく見るとこのうさぎは3種類の形しかありません。
  後ろ足で蹴っているポーズと前足で着地しているだけの
  2種類の形を交互に配置させて動きをだしています。

  湖から2番目のうさぎに西を向きながら触ると
  幸せが訪れるといわれており、女性に大人気です。
  残念ながら夕陽は雲に隠れたまま
  夕焼けで我慢しましょう

  本日の行程はこれにて終了。
  松江駅前にある本日のお宿に向かいます。


■本日のお宿
  「松江エクセルホテル東急」。
  洗練された現代的なスタイルの高級ビジネスホテル。
  松江駅から徒歩3分の好立地でビジネス・観光に最適。
  レディースフロアもあります。
  
  シモンズ製ベッドやテンンピュール製ピローを使用するなど、
  クオリティーの高い客室や充実した設備・施設で
  快適なひとときを過ごすことができます。


 
■夕食
  地酒と郷土料理の店「川京」。
  宍道湖七珍(※)が味わえる人気店。
  昭和45年の創業以来、家族で「創作料理のこだわり」と
  「ご縁」を最も大切に歩んできた店です。

  カウンター15席のみのこじんまりとした店。
  予約がベターとのことで予約していきましたが、
  木曜ということもあって満席にはなりませんでした。
  大将は不在でした(ちょっとだけ顔を出されました)が、
  女将や若女将と会話しながら郷土料理を楽しみました。
  珍しいサービス品も出てきて大満足でした。

  (※)シスズキ・モロゲエビ・ウナギ・アマサギ(ワカサギ)・
     シラウオ・コイ・シジミ

  料理は以下のものを注文。

   ・鳥取砂丘のらっきょう
     毎年6月に漬けているそうです
   ・鰻のタタキ
     秘伝のタレと8種類の香辛料で仕上げられた珍味
     まさに絶品!とてもおいしかったです
     また食べたい逸品
   ・おたすけしじみ
     宍道湖のしじみが肝臓を助けます
     残った煮汁は雑炊か味噌汁にしてもらえます
     白バイ貝も付いてきました
   ・島根のすご~いおとうふ
     安来産丸大豆「さちゆたか」を使用した
     おからを出さない製法の豆腐
     秘伝ブレンド醤油と津和野名産柚子こしょうで食べます
   ・川海老の唐揚げ
     モロゲエビとテナガエビ
     浜田の名物「赤てん」も付いてきました
   ・すずきの奉書焼
     奉書紙にくるんで焼く松江の伝統料理
     松平不昧公ゆかりの料理です
     身はやわらかく、さっぱりとした味でした
   ・鰻くん
     鰻の燻製
     他ではなかなかお目にかかれない料理
     これも絶品!

 
  お通し
  めのは(板わかめ)と変わり枝豆
  鳥取砂丘のらっきょう
 
鰻のタタキ

おたすけしじみ

  島根のすご~いおとうふ

川海老の唐揚げ

ミョウガの天ぷら
★サービス品
  すずきの奉書焼

すずきの奉書焼

鰻くん

  亀の手ともろきゅう
  ★サービス品
漬物
★サービス品?
おたすけしじみの
残った煮汁で作った雑炊
  フルーツ盛り合わせ
  ★サービス品



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